第121章 学校に戻る

「うん」阿部蓮太郎はシートベルトがきちんと留まったのを確認すると、そのままエンジンをかけた。

運転はうまく、道中も引っかかることなくスムーズだ。三十分ほどで車は学校の正門前に滑り込んだ。

有岡里穂が降り、窓越しに手を振る。

「夜ね」

走り去っていく車を見送りながら、里穂の胸の奥がじんと熱くなった。阿部蓮太郎は本当に優しい。だからこそ――彼のことは、早く治してあげなきゃ。

振り返ろうとした、その瞬間。

「姉ちゃん」

呼び声が飛んできた。

西川安菜が早足で駆け寄り、目の前に立つ。

「姉ちゃん、どうして急に戻ってきたの?」

里穂はちらりと視線をやっただけで、答える気もなく歩き出...

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